冬の間の日差しは貴重だ。
どんなに気温が低くても、太陽の光は暖かい。
室内で陽があたればポカポカ暖かい。
それに太陽は誰に対しても分け隔てなく温もりを届ける。
君はなんていいやつなんだ。まるで太陽みたいだな、と思う。
カフェにたくさん席が空いているとき、一目散に窓際に座ってブラインダーを閉める人がいる。
すぐにブラインダーを閉めるなら、どうして窓際に座るんだろうか。
みんなの太陽が一人によって遮られた。
お店の中はブラインダーを透かすオレンジ色の光と閉塞感が増す。
こういうときって難しい。
光が欲しいからともう一度ブラインダーを上げるのはケンカ売ってるようだし。
かといって上げてもいいか尋ねるのも、なんだかキレてると思われそうで憚られる。
もしかしたら気になってるのは僕だけで、この人がブラインダーを下げてくれてほっとしてる人も周りにいるかもしれないし。
いやでもさっきまで誰も不快な様子じゃなかったし、本当は僕が上げたら「ナイス」って心の中で思うんじゃないだろうか。
これって、あれだ。
いじめの構造に似てる。
あるキーマンがターゲット(ここでは太陽)を疎外する。
そのキーマンがちょっとボス的存在で、あんまり周りが口答えできないタイプだと、別にターゲットのことを気に入らないわけではないのに、キーマンが作った空気を読んで何もしない。
つまり疎外した状態を受け入れる。
そしたらターゲットは誰も味方がいないのかと思ってしまう。
いやいや。そんな状況になっちゃいけないじゃんか。
ブラインダー上げようよ。なんで勝手に下げるのさ。
てかさっきから「ブラインダー」って変換しようとすると毎回「ブラインだー」ってなる。
ブラインさんって誰ですか。
とそのときキーマンの友達が登場する。
「明日から雨だし光浴びよう〜」ってブラインダーを躊躇いなくガッと上げる。
ナイス。
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